4月12日からアムウェイの勧誘活動が“解禁”されるというニュースが入り、SNSではすぐにトレンド入りしました。
アムウェイは大手外資系の日用品会社であり、世界最大規模のネットワークビジネス(MLM/マルチ商法)を展開している会社として非常に有名です。
アムウェイは1949年にアメリカで2人の創業者により誕生した会社で、日本法人が設立されてからは40年以上が経ちます。
日用品の品質が高いことに定評がありますが、
なぜ2022年10月に『業務停止命令』という消費者庁からの行政処分が下されたのでしょうか。
以下、その理由について詳しく解説していきます。
アムウェイの業務停止命令理由は特商法違反
アムウェイが消費者庁から『業務停止命令』という行政処分をくらった理由を知るためには、
まず前提として『ネットワークビジネス』について簡単に知っておく必要があります。
ネットワークビジネスの危険さ
アムウェイは世界最大の日用品会社であり、
同時に世界最大規模のネットワークビジネスを展開している会社としても有名です。
「世界最大に日用品会社」と聞いて意外に思うのも無理はありません。
なぜなら、アムウェイはテレビ・ネット・雑誌・新聞などのメディアに一切広告費をかけず、
アムウェイの会員である消費者が知人・友人に商品をおススメし、会員登録させて消費者にすることで広めていっているのです。
つまり『口コミ』だけでユーザーを増やし、会社の規模を大きくしていったということですが、
これがネットワーク(人脈・口コミ)による事業の拡大・・・つまりネットワークビジネスになるわけです。
ねずみ講ではない
ネットワークビジネスは別名で『MLM(マルチレベルマーケティング)』と言い、そこから派生して『マルチ商法』とも呼ばれています。
しかしよく勘違いされがちなのが、アムウェイが『ねずみ講』であるいうこと。
ネットワークビジネスとねずみ講は全く別物であり、アムウェイはねずみ講の会社ではありません。
『ねずみ講』とは、商品やサービスなどの実態がないのにお金だけがネットワーク上で動いているシステムのことを言います。
アムウェイは日用品やそれに関連した家電製品などが流通しているので『ねずみ講』には該当しません。
決してアムウェイの肩を持つわけではありませんが、商品の品質は非常に高く、会社としては歴史ある優良企業なんです。
業務停止命令の理由は特商法違反
品質が高くて優良企業なのに、
なぜ消費者庁から『業務停止命令』なんて行政処分が下されることになったのでしょうか。
その理由は、
「アムウェイのネットワークビジネスをやっている一部の人が、特商法に違反するような勧誘をしてしまったから」
です。
もっと正確に言えば、消費者庁にそういった特商法違反に該当する事例が何件か寄せられたからです。
特商法=『特定商取引に関する法律』とは、
要するに「モラルを守った商売をしようね」ということで広告や訪問販売、ビジネスへの勧誘などに対して一定のルールを設けたものになります。
条文はたくさんあるのですべてを紹介することはできませんが、
ABO(アムウェイビジネスオーナー=アムウェイのネットワークビジネスをやってる人)が
破ってしまったであろう条文は3つあります。
目的を隠したアポイントや勧誘
正直に言って、昔よりかは随分モラルが守られるようになってきたネットワークビジネスですが、それでもまだやってしまいがちなのが、この『目的を隠したアポイントや勧誘』です。
どういうことかというと、アムウェイへの勧誘という目的を隠して会う約束をしたり、商品や入会をおススメする行為が特商法違反にあたるということです。
(連鎖販売取引における氏名等の明示)
第三十三条の二 統括者、勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)又は一般連鎖販売業者(統括者又は勧誘者以外の者であつて、連鎖販売業を行う者をいう。以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。
引用:特定商取引に関する法律
要するに、「名前と目的をちゃんと明かして勧誘しようね~」ということですが、
アムウェイの人のほとんどは、自分がアムウェイの会員であることや、アムウェイへの勧誘が目的であることを言いません。
なぜなら言ってしまったらその時点で断られてしまうからです。
昨今『ステマ』への拒絶反応が大きくなってきたのと同じで、
やはり目的を隠したビジネス行為というのはめちゃくちゃ嫌われますし、モラルに反していると言えます。
強引な勧誘
最近ではこのような過激な行為はかなり減ってきたと思われますが、それでも一部の人が『強引な勧誘』をしてしまっているかもしれません。
3 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
引用:特定商取引に関する法律
- 強引な押し売りをする
- 入会するまで開放しない
- 帰りたい人を引き留める
などなど。
特にアムウェイビジネスが上手くいっていない人や、目標達成のために数字を稼がないといけないと焦っている人が、このようなことをやりがちです。
公衆の出入りしない場所での勧誘
また、盲点ではありますが、ネットワークビジネスの勧誘であるという目的を隠して公衆の出入りがない場所に呼び出すことも特商法違反でアウトです。
4 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所、代理店その他の主務省令で定める場所以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしてはならない。
引用:特定商取引に関する法律
代表的なのが個人宅などのアムウェイの関係者しかいない密室です。
アムウェイの勧誘の仕方として最も多いのが、
ホームパーティーを開催してネット・SNSなどで集客し、仲良くなってからアムウェイビジネスを提案するというやり方です。
しかしこれは特商法的にはアウト。
事前にアムウェイの勧誘であることを告げた上でのアポイントならOKですが、
基本的に家に招いた時点でアウトだということを覚えておいてください。
アムウェイの勧誘は酷い?筆者の体験談
アムウェイが業務停止命令をくらった理由を、具体的に3つ挙げました。
最初にネットワークビジネスについての概要もお伝えさせていただきましたが、
私がここまで語れる理由は、
他でもない私自身がかつてアムウェイをやっていた経験があるからです。
やっていたといっても4年ほど前で、4~5か月くらいしかやっていませんでしたし、
私は臆病者で行動力がなかったので一度も勧誘行為をすることなくフェードアウトしていきました。笑
セミナーに行きまくったり商品に何十万円も使ってしまったのは、今となっては良い“勉強代”でした。
まぁだから実体験としても多少はアムウェイを語ることができます。
強引な勧誘はほとんどしてない
インターネットやパソコンが普及してないくらい昔のことはよく分かりません。
だけども私が実際やっていた2018年ごろに関して言えば、
強引な勧誘や、借金を背負わせるようなビジネス活動は一切やっていませんでした。
ただそれは「どのコミュニティーに属するか」によります。正直。
アムウェイのネットワークビジネスというのは、チームでの活動が基本です。
『アップ』と呼ばれる先輩や上司にあたる人から学びながら実践していくのですが、
私が借金を背負って商品を買おうとしたところきちんと制止してくれるくらい、
モラルや健全なビジネス活動への意識が高いコミュニティでした。
すべてのアムウェイコミュニティがそうだとは言えませんが、
私が東京で活動していた感じだと「強引な勧誘をする」だとか「借金を背負う」などの、
誰もハッピーにならないようなやり方はもう止めましょうねという風潮にはなっていました。
特商法違反はマジ
昔よりも健全にはなってきましたが、特商法に触れるやり方をしていたのは真実です。これはガチです。
私が実際に勧誘され、会員になった流れはこんな感じでした。
- 「フットサルやりたいな」と思ってコミュニティを探していた
- ネット掲示板でフットサルコミュニティを見つけ、募集者Aさんに連絡して参加した
- Aさんや常連の人たちと仲良くなり、ホームパーティーに誘われた
- フットサル主催者Bさんの自宅で行われたホームパーティーで、実はアムウェイのコミュニティだったことを明かされた
- AさんとBさんにアムウェイのプレゼンをされ、無知だった私は魅力的に感じて会員になった
アムウェイは今でもこのやり方が王道であり、最も効率のいい集客方法となっています。
フットサルだったり、ほかのスポーツだったり、料理教室だったり、ホームパーティーだったり…
きっかけはいろいろありますが、仲良くなってホームパーティーで自宅に呼び出し、プレゼンするというのが一般的な流れです。
ここで特商法に違反している問題が3つあります。
- それがアムウェイのコミュニティであることを隠していること
- アムウェイの勧誘が目的であることを隠していること
- 公衆の出入りができない場所(自宅)に呼び出していること
威圧されたり、強引な勧誘をされたわけではありませんが、この3つは特商法に違反しています。
私の実体験としてこれは真実(マジ)だし、
今後アムウェイの人たちが直していかないといけないポイントでもあります。
【最新】業務停止命令の発端は京都での逮捕
最新情報が出たので追記します。
今回アムウェイが業務停止命令をくらった理由はやはり『特商法違反』で間違いないみたいですが、
発端は京都府で逮捕者が出たことで、そこから類似の事件が3件起こったことで消費者庁から行政処分が出たようです。
こちらは暴露系ツイッタラー・滝沢ガレソ氏が特殊なルートで入手した、
アムウェイの某コミュニティのグループラインで送信されたメッセージです。
発端は「1年前の京都の逮捕事件」と書かれています。
京都での逮捕事件とは
2021年11月に、アムウェイの会員である男女2名が逮捕された事件です。
- 会員の男がマッチングアプリで女性をエステに誘った
- 自身がアムウェイの会員であることも、勧誘が目的であることも伝えていなかった
- 女性はその後化粧品の購入や会員登録を勧められ、京都府警に相談したところ立件された
アムウェイで逮捕者が出たのはこれが初だそうですが、
話の肝は、自分がアムウェイの会員であることと、勧誘が目的であることを告げずにアポイントを取ったことにあります。
そして同様の事件が多発したため、業務停止となったわけです。
これが特商法に違反していることは上述した通りだし、
このようなやり方がいまだに“王道”として横行されていることも、私が体験談として話した通りです。